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コラムColumn

2022.8.01

書の「余白」について

書には「余白」の魅力があることも見逃すことができません。

 

 

 

書では、筆で書かれた「線」がよく注目されます。しかし、書には「余白」の魅力があることも見逃すことができません。
「余白」は、書き手が「線」を書く瞬間に生まれ、「線」とともに空間や見え方への支配力を発揮します。書の古典や古筆を見た際、「なぜこの空間にこの文字数を入れこんだのだろう!」、「なぜ中央に書かずに右に寄せて書いているのだろう?」などと思ったことはないでしょうか。「余白」の姿は空間と「線」のやりとりによって生まれていきます。

 

「余白」は、「線」の書かれなかった部分であると同時に、「線」と空間のせめぎあいの結晶だということがわかります。

 

 

 

 

少し話は変わりますが、よく、書道の教室などで「この線は、あと5ミリ短く/長く」など、非常に繊細な感覚での修正を指摘されることがあります。(実際にその後その通り修正できるかは別ですが)これも、「線」と「余白」の絶妙な調和に向けた熾烈なせめぎあいを示す1つのエピソードかもしれません。

 

筆をお供にそのせめぎあいを楽しみながら、自分の「余白」をつくれるよう、これからも書き続けていきたいですね。